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いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

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第8章 地球環境と命のつながり



第8章 地球環境と生命のつながり




■地球環境問題の根本原因



これまで、地球環境の実態についてお話ししてきました。

地球環境問題は想像以上に深刻で、このままでは取り返しが
つかなくなることは明らかです。

私たちは、早急に根本的な解決策を考え出し、実行する必要が
あります。


地球環境についてのデータや統計など、細かな数値をたくさん
知っているだけでは、単なる物知り博士にすぎません。

これでは次から次に発表される新しいデータに振り回されて、
本質からどんどん遠ざかっていくことになりかねません。


そして、「あなたは大変多くの知識をお持ちだが、実践と行動が
伴いませんね」と皮肉を言われることになるでしょう。


私たちにとって大切なことは、地球環境問題の全体像をとらえ、
その根本原因に気づくことです。


そこでここでは、地球環境問題を考える上でぜひとも知っておき
たいポイントをいくつかご紹介します。


これらのことを知っておくと、膨大な情報に流されることなく、
常に全体像を見ながら地球環境問題を考え、実践・行動すること
が可能になるでしょう。




◆地球環境問題のつながり



まず最初に、地球環境問題のつながりについて考えてみましょう。


地球環境問題には、

水資源の危機、地球温暖化、オゾン層の破壊、森林破壊、酸性雨、
生物種の絶滅、人口爆発、砂漠化、ゴミと廃棄物問題、原子力
核廃棄物問題

などがあります。


また最近は、電磁波、遺伝子組み換え農作物、そして環境ホルモン
などが大きな問題になっています。

ここで重要なことは、ここにあげたような問題が全部つながって
いるということです。


地球温暖化やオゾン層破壊などが、ひとつひとつバラバラに存在
するわけではなく、全部つながっているのです。

そして、やがては人間にも大きな影響を及ぼします。


たとえば、温暖化→森林破壊→砂漠化→生物種の絶滅→食糧危機→
飢餓とか、オゾン層破壊→生物種の絶滅→食糧危機→飢餓のように
つながっています。

すでに、人間に対する影響が出ています。

特に貧しい人たちが住んでいる地域では、幼い子どもたちが毎日
3万5千人から5万人も飢餓や栄養失調で亡くなっています。

豊かといわれる地域でも、有害紫外線を浴びたり、化学物質の
入った水を飲んだりしてガンにかかる人が増えています。

また、アトピーと呼ばれる子どもの皮膚炎なども、環境の悪化が
原因のひとつと言われています。


地球環境問題のつながりを無視すると、ある問題を解決する素晴ら
しい方法が発明されたとしても、やがて新しい問題を引き起こす
ことがよくあります。


たとえば以前に述べたように、特定フロンという化学物質が、
オゾン層を破壊するという理由で生産禁止になると、人間は代替
フロンという新しい物質を考えました。

そのときは、オゾン層を破壊しない画期的なフロンができたと
大喜びでした。

しかし、その化学物質が地球温暖化を加速するということが後に
なって分かったのです。

つまり、全体のつながりを考えなければ、モグラたたきになって
しまうということなのです。


しかし、はじめから全体のつながりを考えておけば、どんな問題
が起こるか、ある程度予想できるともいえます。

つながりを考えていないから、後で大きな問題になることが多い
のです。



◆生き物のつながり(食物連鎖)



動物や植物がたくさん生きているところには、ある生物種が別の
種の食物となり、その種がさらに別の食物となるというつながり
ができています。

これを食物連鎖と呼びます。

正確には、1本の鎖というより、ひとつの輪と考えた方がいいで
しょう。

たとえば水中では、微生物→植物性プランクトン→動物性プラン
クトン→稚魚や小エビ類→小魚→中型魚→大型魚→微生物という
輪ができています。

また陸上では、微生物→小型昆虫→ミミズ→モグラ・鳥→ワシや
タカなどの猛禽類(肉食の鳥)・肉食動物→微生物という食物連鎖
が見事な輪を作っています。


実際の食物連鎖は、水中と陸上また植物などが複雑に絡み合って
います。

といっても、もつれているのではなくて、見事に調和しているの
です。


大きく見ると動植物が一つの輪の中で支え合い、生かされ合って
います。

つまり共生しているのです。


この輪が途中で切断されると、生き物のつながりが途絶えてしい、
やがてすべての生き物が生きていけなくなります。

最近、この食物連鎖が至るところで切れているのです。


その理由をいくつかあげてみましょう。




1.人間にとって必要ないから



食物連鎖が切れている第1の理由は、「人間にとって必要ない、
あるいは邪魔な生物を殺してしまった」ということです。

たとえば、害虫が殺虫剤や農薬などで駆除され、どんどんいなく
なっています。


ところで「害虫」とは何でしょうか?

畑の野菜を食べて穴だらけにしたり、稲を食べたりして人間に
迷惑をかける虫。

しかし、虫は人間に迷惑をかけようと思って野菜などを食べる
のではありません。

生きるために食べているのです。


害虫は人間に迷惑をかけるから悪い虫、益虫は害虫を食べるから
良い虫。

たとえばヤゴは稲を食べるから害虫で、トンボは害虫を食べて
くれるから益虫。


ヤゴはトンボの子ども。

ヤゴを殺してしまったらトンボもいなくなってしまいます。

害虫が悪い虫だからといって殺してしまうと、益虫もいなくなって
しまうことになるのです。

害虫も益虫も、人間が自分の都合で作った言葉にすぎません。


大切なことは、それらの虫がいなくなることでミミズがいなく
なり、ミミズがいなくなるとモグラがいなくなるというように、
食物連鎖が切れてしまうということなのです。




2.人間にとって必要だから



食物連鎖が切れる第2の理由は、「必要ないから」の反対で
「人間にとって必要だから」というものです。

たとえば、人間にとって「おいしいから」とか「羽根がきれい
だから」という理由で手当たり次第に狩りをしていると、乱獲に
よって絶滅してしまいます。



3.知らないうちに



第3の理由は、「知らないうちに」です。


これまでお話ししてきたように、地球温暖化、オゾン層破壊、
森林破壊、酸性雨、海洋汚染、ダムやリゾート開発などで、広い
地域で生き物のつながりが切れています。


しかし、多くの人は食物連鎖を切ろうと思って行動しているわけ
ではないでしょう。


知らないうちに生き物がいなくなっている、というのが現状では
ないでしょうか。



■有害化学物質の蓄積



◆生物濃縮



次に「有害化学物質の蓄積」について考えてみましょう。

多くの有害化学物質は、生物の体の中にだんだん蓄積していき
ます。

これを「生物濃縮」あるいは「生態濃縮」といいます。


食物連鎖は、ある生物種が別の種を食べることによって成り
立っています。

ということは、もしある生物種の体に有害化学物質が入って
いたら、この物質は次から次へと別の種に伝わっていくこと
になります。

これらの化学物質は、食物連鎖のプロセスで濃縮されて、最初
の濃度の数千万倍から数十億倍の濃度に達してしまうことが
あるのです。


たとえば、ある湖でPCB(ポリ塩化ビフェニール)が、どの
くらい生物濃縮されたかの記録があります。

それによると、最初の湖水中のPCB濃度を1とした場合、
プランクトン→小エビ→小魚→中・大型魚→鳥という食物連鎖
を通じて、2500万倍に生物濃縮されていることが分かった
のです。 


もし、その鳥が死んで湖の中に沈むと、水の中のPCBの濃度が
かなり高くなります。

そしてまた微生物から食物連鎖が始まって、最終的にはとんでも
ない高濃度にまでPCBが濃縮されることが考えられます。

実際に、ある種の有機化学物質が数十億倍に濃縮されていたこと
が報告されているのです。




◆有機化学物質が生物の体内に蓄積されるしくみ



PCBとかダイオキシンなどの有機化学物質は、脂肪に溶け込み
やすい(溜まりやすい)性質があります。

そのために、エサとして食べた生物の体の中にあった化学物質が、
次の生物の脂肪に移って蓄積(生物濃縮)されてしまうことに
なります。


そして、人間がその生物を食べることで人体に入ってくるのです。

しかも、母親の体内に蓄積した有害物質はお乳になり、それを
赤ちゃんが飲むことになります。

母親の体にあったダイオキシン類の9割以上が赤ちゃんに移ると
いう研究結果もあります。


最近、人間の赤ちゃんに多い、アトピー性皮膚炎などはこれが
原因のひとつではないかとも言われています。




■化学物質汚染について



これから、環境ホルモンやダイオキシンの問題を取り上げます。

これら化学物質汚染の問題に関しては、様々な説が飛び交って
いるのが現状です。

情けないことに、議論のための議論もあちらこちらで展開されて
います。


業界を守るための事実のねつ造。

化学物質をすべて悪とした、過剰反応。


このような極論に惑わされないようにしたいものです。


少し冷静な議論として、次の2つの見解があります。

1.安全性が疑われている物質は、危険性が確認されるまで
  使い続ける。

2.安全性が疑われている物質は、安全性が確認されるまで
   使用しない。

誤解を恐れずに言えば、1は日本政府がとってきた姿勢、
2は欧米、特にヨーロッパ政府の姿勢です。

1は企業の立場、2は市民の立場とも言えます。


私は2の立場をとっています。

水俣病、フロン、アスベストなどの問題で、1の考えは危険で
あることが明らかだからです。


皆さんは、どちらの立場をとられますか?





■環境ホルモン



地球環境のつながり、食物連鎖、生物濃縮から言えることは、

「一部の生態系の破壊、ごく低濃度の有害物質の排出であった
としても、やがて大きな問題を引き起こす可能性がある」

ということです。


もっと身近な言葉でいえば、

「自分ひとりくらい汚染物質を放出しても、量が少ないから
大した影響がない」

と考えるのは大きな間違いであるということです。


大きな話題になった「環境ホルモン」は、

「『自分ひとりくらい・・・・』

という考えが地球の生物を絶滅させかねない」

ということを警告しているのではないでしょうか。

 


◆人類は子孫を残せなくなる?



「1940年には精液1ミリリットルあたり1億1300万個
あった精子の数が、90年には6600万個と半減していた。
また生殖能力に支障が出るレベルとされる精子数2000万個
以下の男性の数は3倍になった」

「日本人の健康に見える若者でも、精子の濃度や運動率が世界
保健機関(WHO)の基準を満たしたのは、34人中1人しか
いなかった」


このような恐るべき研究結果が、世界各地から発表されました。


人間が作りだしてきた化学物質が、生物体内でホルモンに似た
働きをしたり、ホルモンの働きを阻害したりして、生物の生殖
機能などに悪影響を及ぼしているというのです。

この化学物質のことを「環境ホルモン」、正確には「外因性
内分泌かく乱化学物質」と言います。

環境ホルモンは固有名詞ではなく、ホルモンをかく乱する化学
物質の総称です。


環境ホルモンの具体的な影響としては、

「生物の発育や代謝で重要な役割を果たすホルモン系のバランス
を乱し、間接的に生殖の異常、乳ガンなどを引き起こす」

とされています。


事実であれば、やがて人間の子どもを作る能力(生殖機能)が
失われ、子孫を残すことができなくなるかも知れません。



◆身近にある環境ホルモン



環境ホルモンの疑いが持たれている物質には、アトラジン(除草剤)、
ノニルフェノール(界面活性剤の成分)、ビスフェノールA(エポ
キシ樹脂等の原料)、フタル酸エステル(プラスチックの可塑剤)、
スチレンダイマー・トリマー(カップ麺などの発泡ポリスチレンの
成分)、有機スズ(船の底に塗る塗料の成分)、PCB(電気絶縁物
の成分)、DDT(農薬、殺虫剤)、ダイオキシン類などがあげられ
ています。

難しそうな名前が並んでいますが、これらの化学物質は、以前
から健康への悪影響が指摘されているものばかりです。

しかも、私たちの身の回りで大量に使用され、すでに環境中に
かなりの量が放出されています。

たとえば、カップ麺の容器、缶詰内部のコーティング部分、食品
用ラップ類などから環境ホルモンがしみ出して、食品を汚染して
いる可能性があります。

また、哺乳びんやおしゃぶり、ビニール製のおもちゃには、柔ら
かくするために可塑剤が使用されています。

この可塑剤の中には環境ホルモンの疑いがある化学物質が含まれ
ています。

乳幼児が、哺乳びんやおもちゃをしゃぶったり、かんだりする
ことで、環境ホルモンが体内に入ってしまう可能性が非常に
大きいのです。

このほかにも、合成洗剤や殺菌剤など、日常的に使われている
化学物質も環境ホルモンの疑いが持たれています。




◆すでに生物や人体への影響が出ている



米国では、汚染された湖の魚を食べている鳥に奇形が発生した
り、卵が産めなくなったりしています。

また、ワニのペニスが全然発育しないので調べて見ると、流れ
出した農薬の影響を受けていました。

人間でも、男性の精子数が減ったり、女性の子宮内膜症、乳ガン
や卵巣ガンなどが増えています。


もちろん、

「これらが環境ホルモンによる影響なのかどうか分からない」

という専門家(?)もいますが、

「これらが環境ホルモンの影響ではないと確定したわけでは
ない」

という専門家(?)もいます。




◆1兆分の1で影響を及ぼす



環境ホルモンの中には、水中に1兆分の1含まれているだけで、
生物に影響するものがあるとされています。

1兆分の1は、「50メートルプールの中に目薬を1滴落とした
くらい」という極めて低濃度です。

日本の8000倍、世界の170倍くらいの人口の中に1人いた
場合に、1兆分の1になるといえばイメージできるでしょうか。

とにかく、こんなに微量でも問題になるのです。




◆環境ホルモンを出さないために



では、環境ホルモンを出さないために、私たちは何をすればいい
のでしょうか?

それは、当たり前のようですが、「安全性が確認されていない
化学物質を使用しない」ということです。

「合成」とは限らないことに注意してください。

自然物質でも危険性の大きいものがありますし、将来において

「極めて安全性の高い合成化学物質」

が誕生する可能性を否定できないからです。


ただし、合成化学物質の多くは、急性の毒性についてはチェック
されていますが、「慢性の毒性や環境ホルモンとして振る舞うか
どうかについては、まったくと言っていいほど分かっていない」
ということは認識しておく必要があります。


また、「安全性を確認できないような合成化学物質を作らない、
捨てない」ということも大切です。

現在までに作られた合成化学物質は、10万種類以上もあります。

これらを直ちに廃止せよといっても現実的ではありませんし、
激しい抵抗も出てくるでしょう。

しかし、少なくとも「環境ホルモンの疑いや毒性の高い物質」の
使用を止めなければ、地球の生態系が崩壊する可能性が高くなる
ことは間違いないのです。


たぶんこれからも関連業界やお抱え学者さんなどから、

「まだ因果関係が特定されていない」

とか

「調査のサンプル数が少ないので、結論を急ぐべきでない」

あるいは

「自然界の物質の方がよほど危険だ」

という見解が出てくるでしょう。


しかし、水俣病・薬害エイズ・アスベストなどのように、因果
関係が特定されるのは、いつも多くの犠牲者が出た後であること
を忘れてはなりません。

ひょっとしたら、その犠牲者は自分かも知れないし、わが子や
孫かも知れないのです。

ここで重要なことは、「化学物質による犠牲者のすべてを数値
として表わすことはできない」ということです。

生まれてこなかった命、受精しなかった命は犠牲者として数え
ようがないからです。

因果関係を特定する意味について、改めて考える必要があるの
ではないでしょうか。



◆触媒効果と相乗効果



環境に放出された化学物質は、単独で存在することは絶対に
あり得ず、常に複数が同居しています。

つまり、単独で影響がないからといって、人体に対して影響が
ないとは決していえないのです。

その物質自体は直接作用しなくても、その物質が存在するだけ
で他の有害物質が活性化することがあり得ます(触媒効果)。

またその物質の濃度は許容限界以下であったとしても、ほかの
物質との相乗効果(複合作用)で生体に大きな影響を与えること
があります。

1+1=2という相加効果(足し算効果)や1+1=0という
負触媒効果(引き算効果)も一部見られますが、それよりも、
1+1=10とか100になることも有り得るということです。

※専門家の中で、「相乗効果はないと見なしてもよい」と言って
  いる人がおられます。
  しかし、「相乗効果はない」と断定しているわけではないこと 
  に、注意してください。
  あとで何かが起こった場合、「断定した覚えはない」と逃げら
  れるのが落ちですからね・・・・念のため。



これらの化学物質がどのように組み合わされたとき、どのよう
な影響が出るかをすべて調べなければなりません。

このとき、環境ホルモン同志の相乗効果を調べるだけでは片手
落ちです。

環境中に存在するすべての物質を対象にしなければなりません。

さらに物質だけでなく、紫外線との複合作用や微生物との関係
(無機水銀が太陽光や微生物の働きなどで有機水銀に変わるなど)
も調べなければなりません。


とは言っても、これらをすべて調べることは、膨大な時間と
コストが必要で、現実的ではありません。

そこで、生体に対する有害性が疑われ、しかも体内への蓄積性が
大きく、分解しにくい物質については、全面的に廃止するのが
望ましいのではないでしょうか。

少なくとも、疑わしき物質を「疑いが晴れるまで使用しない」
ことが大切だと思います。



■ダイオキシン類について



◆ダイオキシンとは?



ダイオキシンは、分子中に塩素を含むポリ塩化ダイベンゾ・パラ
ダイオキシン(PCDD)の通称です。

これにポリ塩化ダイベンゾ・フラン(PCDF)とコプラナー
PCBを加えたものを「ダイオキシン類」としています。

その中で最も恐れられているのが2,3,7,8四塩化ダイベンゾ・
パラダイオキシン(TCDD)です。

これは、人類がつくりだした毒物の中でも最も強力な化学物質の
ひとつであると言われています。

モルモットに対する半数致死量(半分が死ぬ量)は、体重1キロ
グラム当たり0.0006ミリグラムという驚異的な急性毒性を
示します。

これを体重60キログラムの大人に当てはめると、0.04ミリ
グラムで半数が死亡するという結果になってしまいます。

もちろんモルモットと人間は違いますが、極めて強い急性毒性が
あるとされている事実には変わりありません。

また、このTCDDは、急性毒性が強いばかりでなく、慢性毒性
も極めて強いことが知られています。

ベトナム戦争で米軍が使った枯れ葉剤に含まれ、多くの胎児奇形
の原因と報告されたことはあまりにも有名です。




◆ダイオキシン類の基礎知識



ここで、ダイオキシン類について整理しておきましょう。


1.

ダイオキシン類は、有機塩素化合物が300~600℃程度の
温度で不完全燃焼したときなどに発生する。
日本の総排出量の8~9割がゴミ焼却炉から出ていると言われ
ている。
また、ごみの銅線や基板などからできる銅化合物(塩化第2銅)
が触媒になり、ダイオキシンの発生を促進させる。

2.

世界保健機関(WHO)は、1997年2月にダイオキシン類の
発ガン性評価を見直しを 行い、「発ガンの可能性がある」から
「発ガン性がある」と明確に発ガン性を認めた。

3.

米国での雌アカゲザルの実験で、ダイオキシン類が不妊を誘発
する子宮内膜症の発症に関係していると考えられている。

4.

高濃度のダイオキシン類を含んだ母乳で育てられた乳児に甲状腺
ホルモン異常がみられ たと報告されており、アトピー性皮膚炎
への影響も考えられる。

5.

母親の胎盤を通じて胎児に及ぼす影響として、胎児の死亡、小児
ガン、発育障害などが報告されている。

6.

外因性内分泌かく乱物質(環境ホルモン)のひとつではないか
と疑われている。




◆ダイオキシン類発生の防止策



ダイオキシン類は、塩素系化合物が不完全燃焼して発生するの
で、「塩素を含む化合物を燃やさない」ということが何よりも
大切です。

ここで、ダイオキシン類を排出させない方法をまとめてみま
しょう。


1.

ポリ塩化ビニル(塩ビ、PVC)、塩化ビニリデンなどの有機
塩素化合物を回収・リサイクルしたり、分別収集する。
そして、収集したものは決して燃やさない。

2.

有機塩素化合物を使わない製品づくりを進める。

3.

食物くずなど台所のゴミは肥料化する。
食物や調味料の中には塩分を含むものが多いので、ダイオキシン
類が絶対発生しないとは言い切れません。


いずれにしても、「出たゴミ(ダイオキシン類)をどう処理する
か」という旧来の発想では、あまり効果は期待できません。

私たちは、「ゴミ(ダイオキシン類)を発生させないために何を
すべきか」という発想への転換が求められているのです。



■なぜゴミを燃やしてはいけないの?



ダイオキシン類は、塩素系プラスチックが不完全燃焼すると
発生します。

非塩素系であっても、焼却炉中に他の塩素系プラスチック
や塩分が共存していると、ダイオキシン類が発生する可能
性があります。

また「完全燃焼させるとダイオキシン類が発生しない」と
いわれていますが、

「すべての焼却炉で完全燃焼が可能なわけではない」、

「完全燃焼させると二酸化炭素が発生し、温暖化の原因と
なる」、

「燃やすと食物連鎖が切れてしまう」

など多くの問題があります。


さらに、断熱材や壁紙には臭素系の難燃剤が使われていて
これらを燃やすと臭素系のダイオキシン類(この毒性も塩素
系ダイオキシンに勝るとも劣らない)が発生することが分か
っています。

私たちは、燃やすという行為をやめない限り、環境問題を
根本的に解決することはできないのです。

燃やさないための一番の対策は、いうまでもなく「捨てな
い」ということです。


間違いなく、「捨てなければ、ゴミが至る所で溢れかえって
しまう」とか「不法投棄が増える」などの意見が出てくる
でしょう。


このような「できない理由」が出てくるのは、ダイオキシン類
の怖さを自分のこととして実感していないからだと思います。

ダイオキシン類の持つ急性・慢性毒性、催奇形性、発ガン性、
ホルモンかく乱などの脅威を本当に理解している人は、

「できない理由をあげている場合ではない」

ということに氣づくはずです。

ぜん息で苦しむ我が子の顔にタバコの煙をふきかける親は
いないでしょう。

タバコの煙で「わが子がどのような影響を受けるか」知って
いるからです。

この意味で、知った人が知らない人に事実を伝えていくこと
が極めて大切なのです。



◆えっ、ゴミが減ったら困るの?


また「常に完全燃焼が必要になるため24時間連続運転が
必要になり、そのためには将来ゴミが減ったら困る」という
本末転倒した考えが浮上してくるかも知れません。

「そんなアホな!」と思われるかも知れませんが、現在進めら
れている焼却炉の大型化が、その可能性を物語っていると思い
ます。

いくつかの市町村で集約して使用するにしても、ゴミ収集車が
排ガスをまき散らしながら道路を走り回るのは、どう考えても
矛盾しますね。

だって、発ガン物質であるダイオキシン類を発生させない目的で
焼却炉に運ぶ際に、ベンツピレンなどの発ガン物質を撒き散ら
せてしまうのですから。




■ダイオキシン問題は幻想?



最近、「ダイオキシン騒動は幻想であり、その毒性など取る
に足りない」という意見があります。本当のところはどうな
のでしょうか。

ダイオキシン、環境ホルモン、トリハロメタン、重金属、
農薬・・・・。

これらがマスコミで取り沙汰されたとき、それぞれの専門
家が「すぐに健康に影響があるとは言えない」「単独では因果
関係が認められない」というコメントを出すのが普通です。

しかし単独で影響があろうとなかろうと、ガン患者が急増
しているのは紛れもない事実です。

明らかに「何らかの原因が存在する」のです。

おそらく自然科学的影響だけでなく、精神的影響も含めた
複合原因のはずですから、専門の枠を超えた取り組みが
不可欠です。



◆沈黙の春が来る?



さて、ダイオキシンが発生するような条件(たとえば不完全
燃焼下)においては、数多くの発ガン性物質や有毒物質が
同時に発生します。

こんな状況下で、ダイオキシンだけの濃度に注目し、

「急性毒性など取るに足りない」

「発ガン性は嘘だ」

と叫んでも無意味です。

「ダイオキシン」ではなく、「ダイオキシンを含んだ」食べ物・
水・空気に発ガン性や催奇性がないか、という検討が必要
なのです。

今の科学は余りにも専門が分散化(枝葉末節化)しすぎて
いるため、トータルで判断することが困難になりつつあり
ます。


このままでは、レイチェル・カーソン女史が「サイレント・
スプリング」で警告した世界がやってくるかも知れません。


「農薬のような化学物質を無制限に無秩序に使い続けている
と、やがて春が来ても鳥が鳴かず、虫の羽音も聞こえない
世界がやってくる」。

まさに「沈黙の春」の到来です。


とは言っても、自然界にも生体に対して毒として働く物質
は多数存在しているのも事実です。

だから、全面的に化学物質の合成を禁止するのも理不尽と
いえます。

ただし、自然界に存在する毒は比較的分解が速く、無害化
されやすいものが多いのが特徴です。


そこで以前も述べましたが、

「生体に対する有害性が疑われ」、

「体内への蓄積性が大きく」、

「自然界で分解しにくい物質」

については、全面的に廃止する方向で検討するのが望まし
いと思います。

たとえば、ダイオキシン類の発生がなくなれば、相乗効果
が逆に働き、現在生じている悪影響が何百分の一になるこ
とも充分あり得るのです。



今日は、少し複雑で難しかったかも知れません。

しかし、「止むに止まれぬ思い」から書かせていただき
ました。


ホントはもっと書きたいのですが、この辺で止めておきたい
と思います。

さらに追求されたい方は、私の「公式ホームページ」をお読み
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